Technical analysis
2026年のパワーユニットは、いかにして勢力図を静かに塗り替えたのか
出力の半分を電力が担い、MGU-Hは廃止、燃料も一新。新規定への適応でチーム間に差が生まれた理由をマーカス・リードが解説する。

2026年規定は、空力を一新するものとしてファンにアピールされた。だが、チーム内部でボディワークを話題にする者はほとんどいない。今季の性能差を生んでいるのはパワーユニット、とりわけ、電力を使い切ることなく350kWの電動出力を活用する術を、各メーカーがいかに早く身につけたかである。
主要な数字はわかりやすい。内燃機関の出力は小さくなり、MGU-Hは廃止され、電動部分が総出力の半分近くを担うようになった。燃料は完全に持続可能なものとなった。しかし、これだけでは実際に直面する問題は見えてこない。モンツァやラスベガスのようなサーキットでは、バッテリーだけで1周を通じて最大の電動出力を維持することはできないのだ。
エネルギーマネジメントがドライビング技術になった
ドライバーは以前より早い段階でリフト&コーストを行い、ブレーキング時にはより積極的にエネルギーを回生するようになった。場合によっては、次のストレートで電動出力を使えるよう、ひとつ手前のストレートで意図的に速度を犠牲にする。2024年のうちにこのためのシミュレーションツールを構築していたチームは、明確な優位に立っている。
「もはや、ただ最速で周回すればいいわけではない。手持ちのエネルギーで、いかに最速の1周を走るかだ」
電動出力のデプロイメントマップでは、メルセデスとアウディが最も優れているように見える。両者はプレシーズンテストの時点で、ライバル勢を悩ませた最終セクターでの出力低下を起こすことなく、フルパワーで周回できていた。
どこでロスが生まれているのか
メルセデスのカスタマー供給に切り替えたアルピーヌが代償を払っているのは、出力ではなくパッケージングの面だ。エンストン製のシャシーは異なる搭載レイアウトを前提に設計されており、その妥協が冷却面に表れている。
エンジンメーカーとして初年度を迎えたレッドブルは、パドックの予想どおり、明暗の入り交じる状況となっている。最高出力には競争力がある一方、エネルギー回生ソフトウェアの成熟度はまだ低い。その差はレースごとに縮まっており、シーズン後半は前半よりも強さを見せそうだ。

